何年か前からふとした時に話題になる
「かたわ少女」……海外製の同人(ノベル)ゲームです。日本語化された体験版がダウンロードできるというので、やってみました。
今のところ特にエロらしいエロはない(パンチラぐらい)んですけど、将来的にはエロゲになるらしいので一応
「エロゲ」として扱うことにします。
私がこのゲームの存在を聞いたとき、タイトルから生々しい描写を露悪的に見せ付けられる悪趣味な作品をイメージしていて、プレイするのを躊躇していました。それが実際にプレイするに至ったのは、感想を含む情報収集と、キャラデザを見て思った以上に気に入ってしまったことによります。
最初にお気に入りの台詞を二つ書き出しておきます。
琳「わかった。君のショーガイはパンツの中だ!」
(主人公の障害が何かを知らないヒロインが、主人公に対して)
健二「で、何があったんだ? なんでそんな浮かない顔してる? ていうか浮かない顔してる?」
(弱視の友人が主人公に対して)
……こんなゲームです(笑)
無国籍な雰囲気
ゲームを初めてすぐ感じたのは、違和感の小ささへの驚きでした。海外製にもかかわらず
舞台が日本という設定なので、外国映画なんかにたまにある「ガイジンが考えた日本」みたいなオモシロいことになってるんじゃないかという密かな期待は裏切られたようです。
ただ、「日本らしい」と感じたわけではありません。はっきり言うと無国籍な感じです。背景は日本っぽくないし、効果音のガヤは英語(?)だし、キャラも国籍不明な金髪やらなんやらでごった煮です。それが逆に
「エロゲらしい」感じがして、違和感が少なかったのかもしれません。
操作や演出など
和製のエロゲで体験版をプレイする時、私はまずインターフェイスやコンフィグ、操作感のチェックをします。今回もそうしました。基本的なコンフィグ項目のみのシンプルな構成で、特に動作に違和感はありませんでした。音楽の再生時に多少ユガミを感じましたが、それぐらいですかね。特に問題ないかと。
演出まわりは日本のものと比べても、凝ってる方だと思います。メッセージウィンドウが2分割されたり、「だーれだ!」をやるときに黒い手型の効果で画面ごと目隠しされる演出が入ったりといった感じ。
背景は写真の加工みたいですね。理想は絵なんでしょうが、写真の利用は日本でもあることなので特に何も。ただ背景を使った細かい芸については触れておきたいです。例えば教室にはルルーシュや小牧郁乃っぽいモブがいたり、廊下に飾られた妙な絵(?)が時々変わっていたりといった具合です。そういうシャレを分かって組み込んでいるということなんでしょう。
相当エロゲやってんでしょね。たぶん。
キャラに音声が入ってないのは残念ですが、海外で作られたことを思えば当たり前でしょう。むしろ入っていたら驚きです。ただ、喋れないキャラ(静音)を常時通訳をするという実質一人二役のキャラ(ミーシャ)による演じ分けが聞けないのが残念かもしれない。
また同時に「今誰が喋っているのか」の区別が直感的に分かりにくくなっている気がします。これについては、最近声ナシのゲームをやったことがないのもあります。
あと絵や音楽ですか。絵に関しては思った以上に可愛くて好きですねコレ。塗りはシンプルな感じですが、いわゆる「エロゲ塗り」がしっかり実践されてるように見えます。
音楽に関しては、穏やかなノリで雰囲気のよいものです。
オハナシについて
ネタバレしかないので注意。どうせまだ体験版ですけど。
ある時突然重い心臓病を発症した主人公が、それまでの健常者としての生活から切り離され、障害者達の通う新たな学校で生活を始める……といった流れ。導入からして暗い話になりそうですけど、基本的にゆる〜い日常系コメディで、たまにシリアスが混ざってくるというノリです。
そういう作品、日本でも結構ありますね。状況は結構深刻なのに、主人公のノリは妙に道化じみてたりする感じの。……あー、鍵系とかですかね。そういうのに近いかもしれない。
主人公が心臓病でいつブッ倒れるか分からないというのは、病気持ちの主人公の類型としてそこそこあると思うので、割と馴染みがあるかも。月姫とかそうですね。リトバスの主人公はナルコレプシーだっけ。「ここで倒れるのか?」「いやここか!?」とかプレイ中に考えちゃいます。
あとここが結構大事だと思うんですけど、この空気のユルさを支えてるのは、周囲のキャラが障害者としての“先輩”ばかりだからというのが大きい気がします。要は
年季の違い。新しい環境に慣れない主人公を、みんなでユル〜くサポートしてくれるんです。特に精神面で。
障害という設定からすると「ヒロインたちが自分の障害と向き合って克服していくストーリーになるのかな〜」と簡単に予想するところでしょうけど、
実際それするのはヒロインより主人公という感じです。主人公自身が焦点になってますね。
目に見えて気が弱そうなヒロインは、火傷によって障害を負った華子ぐらいです。他は落ち着いたもんです。
体験版とはいえある程度ボリュームがあって分岐もあるので、そのあたりちょいちょい書いてみます。
まず両足義足の茨崎笑美のルートは、どうやら走ることと、主人公の健康管理を通じて接近していくというお話が体験場の後に続いていきそうです。お弁当を作ってくれるなどやたらと面倒見がよく、明るく、積極的な感じのツインテールの女の子です。どこまでもヒロインに面倒を見られるのは、エロゲ主人公の宿命か(笑)
ADVの画面として興味深いのは、立ち絵が足元まで入りきってないので、
通常シーンでは義足部分が見えないことです。なのでたまに出てくるCGシーン以外では、プレイヤーは彼女が障害者であることをあまり意識しないんじゃないかと。何かメタなギャグにでも使えそう。
池沢華子は火傷で顔半分が爛れており、そのせいか人を避けていて、コミュニケーションに難があるヒロイン。その部位はほとんど髪で隠れてるため、絵的には
萌え貞子みたいになってます。デザイン的には一番好きかも。
このキャラは恐らく、このヒロイン自身のコンプレックスを克服して、周囲と仲良くなっていこう……みたいな流れになるんでしょう。非常に分かりやすい感じです。最終的には笑顔が見られるといいなーというアレ。
砂藤リリーは盲目キャラ。落ち着いたお嬢様系。どうやら家庭環境……特に姉との関係になにかストーリーの契機がありそう。どういう流れになるのかはイマイチ予想できませんが。
盲目のヒロインは類型的にそこそこメジャーらしく、エロゲにも割と出てくるので馴染みはあるんじゃないかと。どんなものがあるかは、調べればすぐ出てくるので書きません。
誘導するために手を握ってドキドキみたいなのがありそうだなーと事前に想像してたんですけど、大体そんな感じかもしれない。
手塚琳は両手がないキャラ。立ち絵で見ると一番インパクトがあるかもしれない。芸術家肌なのか、足を使って絵を描きます。ものの考え方が独特で、何を考えてるのかよく分からないが、口数は多い。
彼女の言葉に主人公がなにやら触発されたのか、美術部に入ったりもしてるので、これから一緒に絵を描いたりするのかもしれません。「できないことをしようとするのは、本当はできるから」……何かチャレンジャブルな話になりそう。最後には芸術家として成功したりするのかしら。
特に印象に残っているのは……何か困った様子の琳に対し主人公が強引に手助けを申し出たところ、「生理になったから笑美にナプキンをつけてもらう」というようなことを言い放つシーンです。……そういう日常からの気付きが主人公を成長させていくんでしょう。
羽加道静音は喋れず、耳も聞こえないというキャラ。にもかかわらず委員長系。御門「ミーシャ」椎名というサブヒロインがべったりくっついていて通訳を務めているので、周囲とのコミュニケーションは円滑。表情豊かですぐ怒る。
原案にも書かれてましたけど、やっぱり主人公が手話を覚えたりして距離を縮めていくことになるんでしょうか。
喋れないキャラってのもエロゲには割といる気がしますね。スケッチブックか何かを持って、筆談ネタなんてのが定番ですか。聞こえないってのはどうだろうなぁ……記憶にないかも。あったような気もするけど。
ミーシャはどうやら攻略対象じゃないみたいなんですけど、彼女の障害は一つのミステリーです。どこが悪いのか分からないんですよね。精神的なものなのか、内臓関係なのか。そもそもストーリーに関係してくるのか? 気になるところではあります。
今のところ、突然奇跡が起こってどうにかなるとか、超能力でバトルを始めるとか、突拍子もない展開にはなってません。堅実な人間ドラマでいくんだろうか。そこらも謎である。
バッドエンドでどうやら主人公が事故で転落死したっぽいので、話の流れによっては他のキャラの死もありうるのかな? 直接命にかかわるような障害……ってのは今のところ見当たらないけど。
これが将来的に完成した後も無料で配布されるということを考えると、充分以上のものだと思います。
「謎の情熱」というタグがつきそう。これはこれですごく面白かったです。色んな意味で。
あと、障害に関するリアルなしがらみの類は一旦忘れた方が素直に楽しめそうです。一つの
ファンタジーとして見る感じですかね。
弱者の所有
自分より立場の弱いもの、あるいは社会的弱者である女性をモノののように所有して支配欲を満たすのがオタクの心性だーみたいな誰でも思いつくような嗜虐ネタがありますが、もちろんそんな単純なものでもありません。
逆に
男の方が女性に所有されたいんじゃないかって感じの作品もエロゲにはあります。ヒロインが社会的に自立してたり人格的にドSだったりしてね。分かりやすいところでいえば姉萌え系とか? そりゃ人間、自分ばっかり所有してたって面倒見るのも相手するのもシンドイですもんねぇ。誰だって楽したいさ。
あるいは極端なところで、ヒロインが奴隷みたいになってる凌辱系の抜きゲもあれば、逆に主人公が奴隷みたいになってるのもあります。人間の性とは深いものですなぁ。
「かたわ少女」で面白いのは、この
両方があることですね。
障害者ネタということで、一見前者に偏っていそうな想像ができるでしょう。確かにメタなレベルでは「オタクが障害者美少女に萌える」という構図があります。ここに突っ込んで「
非実在障害者に対する性的虐待が〜」とかワケのわからん話になったりするかもしれませんがそれは別の話。
これに対し、実際の作品内ではむしろ主人公自身が
障害“初心”者として、ヒロインたちに面倒を見てもらうという構図があるんです。ヒロインたちは、弱者でもあり強者でもある。主人公ももちろんそう。バランスの問題ですかね。
対等な関係を描こうとする志向……揺れ動き傾きながら釣り合おうとする天秤がある。かなり慎重に。
例えば足がない茨崎笑美は、主人公にあれこれ世話をやいて健康管理をしようとするキャラです。
彼女の振る舞いを邪推するなら、自分より立場の弱い主人公の面倒を見て、優越感を感じているかもしれない。それは純粋な善意かもしれないし、あるいは偽善の自覚があるかもしれない。急に
黒笑美に変貌したり……はしなさそうだけど、まぁそんな感じで、一方的な関係性に収まり切らないのがいいです。
周辺のノイズ
ネット上の各所の反応などを多少踏まえつつ、自分の考えを書いていきます。
例えば、この作品をきっかけに障害者に対する理解が深まるといいとか、なんとも重い役割を求める人もいるようです。
文部科学省推薦図書かなんかと勘違いしとるのではないかと思いましたけど、そういう発想が出てくるのは無理もないことだと思います。珍しい試みですしね。
あるいは、問題提起がどーたらとか、批評だか文学だかの文脈に取り込みたがるようなスジモンもいるようです。彼らは自分のネタになるようなものが出てこないかと獲物を見るような目で虎視眈々と狙っているようです。
さらには、障害を扱うからにはもっと重いテーマでリアルを追求すべきだ!みたいな人もいたり。自分の都合で作品をコントロールしたがるのは
処女厨だけかと思ってましたけどそうでもないらしい。
どうもなぜかこう、
ただのお気楽な娯楽としてこれが作られることを許さない・認めたくないような空気を発している人がちらほらいるような気がします。
実際にこれを作ってる有志たちがどういう意図でもってやってるのか分からないのでなんとも言えませんけど、随分とハードル上げられてるなぁと思う次第で。そういうのって結構な
抑圧になってるんじゃないかと変な心配をしてしまいます。そんなノイズは適当に無視して思うようにやってもらいたいもんです。
私なんかは
もっとエロハプニングを増やして!と言いたいわけですが……あぁ、これが一番やばいノイズなのか? 矛盾しすぎだろ俺。
ノイズといえば、日本だけでなく海外でも妙な方向で取り上げられたりして、スタッフが怒ったなんてこともあるようです。マジ頑張れ。
それからそうだ。障害者ネタを使うと、どこからかパワーを持った“何か”がアクションを起こすんじゃないかという話もありますね。当然です。でも今のところは何も聞こえてきません。
ただそう……例えば、
「かたわ少女のコスプレです!」っつってほんとに障害者がアクションを起こすなんてことがあれば、現実の障害者にまつわる歴史的文脈に接続されてしまって、何かを呼び寄せるかもしれません。それはまたその時になってからで。今のところは杞憂ってやつです。
我が分身との対話
ここからはこれまでよりも更にくだらないただの
シモネタです。
この作品は将来
エロゲになるという。つまり
ポルノである。ならば、男としては我が股間なる分身殿と対話してみる必要があるだろう。これは是か非か。
ヘイ!ジョニー! エロがなくとも立ち絵があればどうにかなるだろう。まぁしばらく待ってくれ。
……うーんやっぱりこの眼鏡っ娘の胸のあたりのラインが……
いややはりブルマか……? そういえばパンチラCGが……
………………
…………
……ふぅ。
ふむ。どうやら是であるようだ。
The Mishimmieにはファンアートも沢山あるぞ! おかずには困らないな! HAHAHA!
さて、私は“新しい刺激”に出会うとまず分身との対話から始めることにしています。それは是か非か、
ただ自らの股間のみが真実を語ると信じているからです。罪悪感や後ろめたさ、倫理や論理との葛藤を超えて、解答を示してくれます。
エロゲにも色々ありまして、世間的・心理的にハードルの高いものもあります。グロ系、凌辱系、スカトロ、獣姦、近親、男の娘=ホモ、ロリ・ペドなど。モノにもよりますが、私は大体大丈夫らしいので守備範囲は広いということになるでしょうか。今回はそれらと比較しても、世間的にはともかく、心理的にはかなりソフト。
ほとんどハードルらしいハードルは存在しないといってもいいです。 しかしそれは今回のケースに限ったことであって、別の障害者ネタを扱ったものに対して同じように感じられるという保証はありません。
例えば(準のせいで)男の娘を是としてしまった時にも感じたことだけど、あくまで
絵的に99%までただの美少女キャラだから是なのであって、それが90%、80%、50%と成分の割合が変わっていけば話は違ってくるはずです。この「かたわ少女」についても恐らく同様で、ただウデがない、足がない、絵も生々しくはない。だから何の抵抗もないんでしょう。
しかし、それでもどこかに閾値はあるはず。それは間違いありません。それについてもまた、ただ自らとの対話のみが隠せない真実を語ってくれるでしょう。身体改造系なんかで私にも「これはねーわ」ってのもありますから、どのあたりまでというのは予想はできますけどね。
また、こういうのは
二次元だからOKなのであって、AV(アダルトビデオ)になるとまた話が全然違ってくるんですよね。二次元がOKだからといって、三次元がOKかどうかは
全く別の問題です。こういう感覚が、理解できない人には理解できないらしい。男の娘が好きだからってリアルなガチホモもOKなんてこたーない。女装系その他も恐らく無理。同様に、想像する限りでは「かたわ少女」と同じ類の障害に関するAVがあったとしても、私には無理かもしれません。まぁその時になってみないと分かりません。
加えて、
自分の股間に挑戦するなら「物語」としての理由が欲しいというのもありますね。例えば……クシャナ「我が夫となるものは、さらにおぞましいきものを見るだろう」→「それがクリアできればいいってことか! よーしどんとこい!」ぐらいの感じです。あるいは、ボーイズラブのキャラなんかは常に彼ら自身の股間に挑戦してる気がします。AVだとそういうのは基本的に無いですから、単純なシチュエーションや女優の見た目だけでテンションを上げなきゃならないので、ちょっとものたりない。
しかしそう……何もかも、タダイケの逆、
「ただし美少女に限る!」ってのが前提ではあるでしょうね。タダビショ!……語呂わりぃな……
そこにも閾値があるんでしょうけど試す気にもなりません。あえて問うようなものだとさえ思わないです。
え、AVじゃなく現実についてはどうかって?
……最近まともに女の子と話してさえいない俺に、何を考えろというのだ。アホかね君は。
勝手にやりたまえよ。
うーん赤裸々だな。まぁいいか。もうなんか色々どうでもいいわ。(賢者モード)
今はただ萌えとエロの…いや違うな。エロゲのフロンティアを楽しませてもらうことにします。
補完
この作品に対する現場面との比較からのツッコミを含む記事。
きっとこういうのも必要。私には書けないもの。