(最終更新2009/10/25)
*この記事は2008/04/24投稿分を加筆修正したものです。
「地雷」…歴戦の猛者なら一度は必ず踏んだことがあるはず。
ここに記すのは私がその「地雷」と付き合う際の心得である。
地雷はなくならない。100%の回避はできない。
しかしそれでも行くのだ。あの過酷な地雷原へ。そこにエロゲがあるから────
一、「地雷」を知る
敵を知り己を知ればと言うように、まず相手を知るべきだ。
エロゲにおける「地雷」とは、作品としての完成度や顧客満足度が著しく低い作品を指す。
◆素材が足りない未完成品
「おたくまっしぐら」「まじかる☆プリンス」のような、そもそも絵や音声など素材自体が揃っていない、製品としての体裁すら持っていないもの。
◆バグゲー
バグだらけでプレイに支障のあるもの。メーカーでいえば昔の「ライアーソフト」や「すたじおみりす」とか。
◆作品規模の縮小
予告なく作品の規模が縮小されたまま発売されるもの。「Dies Irae」や「Garden」の類。
「縮小された」と判断するに足る事前情報がなければ該当しない。そのため判断が難しい。
◆前評判との落差
大手メーカーや有名クリエイターの名前が使われているとか、広報での扱いが大きい作品など。出来が並でも前評判が高ければ地雷として扱われることがある。
二、最も安全なのは評価待ち
地雷の回避において最も有効なのは、情報が出揃うまで手を出さないことである。
素足で地雷原を歩いてゆく勇者たちの後についていくことだ。 予約買いや当日買いなどせず、信憑性の高いレビューが出てくるまで待つのである。
レビューは複数、できるだけ多くのものを比較して検討すべきだ。
しかしこれは欲望との戦いでもある。
予約特典や初回特典を逃すかもしれない諸刃の剣。 覚悟があるなら、自分がその勇者になればいい。誰にでもすぐになれるのだ。勇気さえあれば。
三、実際の商品とは多少異なることがあります
作品がどれだけ酷くても、広報の手練手管がそれを隠してしまうことがある。
それが歴戦の猛者たちの
地雷探知能力と自制心を上回る時、大規模な被害が発生するのだ。
“惚れた弱み”という奴で、分かっていてもあえて誘惑に乗ってしまう猛者もいる。
覚悟があるのなら、迷わず思うさま踏めばいい。それもまた地雷との付き合い方である。
四、無料体験版は必ずプレイすべし
実際の作品に最も近いのは
体験版である。
ほとんどの体験版がWebで無料配布されるので、これをプレイしない手はない。
絵・ゲーム画面・文章・音楽・システム・動作の可否など、最も多くの情報を雄弁に語ってくれる。
雑誌やホームページの紹介の比ではない。百聞は一見にしかずである。
体験版をやって初めて、絵が思ったほど綺麗ではなかったとか、テキストが好みでないとか、音声の収録環境の良し悪しなどが判断できるようになる。
しかし、これだけで全てが分かるわけではない。
テキストだけならともかく、体験版に含まれていないシナリオ部分にこそ地雷が眠っていることも多い。そんな時は
ほとんど何も分からないといっていい。それでも、体験版レベルで分かるはずの内容にケチをつけることはなくなるはずである。
中には発売前に中身を知りたくないなどの理由で体験版をプレイしない人もいる。この場合は、起動確認だけでもやっておくべきである。
また、
サンプルボイスがあればこれも聞くべきである。
体験版に登場しないキャラクターがいることも多く、特に気に入らないキャラクターの声を個別にOFFにできない仕様の場合は後悔することになる。
五、メーカーの過去作を調べる
作品の出来を予想するには情報が必要だ。
その基本として、まずその作品のメーカー、または系列メーカーの過去作を調べることから始めよう。
大体の傾向が見えてくるはずである。
大手メーカーが地雷を産み落とすことも少なくないが、その場合は前科があることも。
また、蛙の子は蛙である。突然変異が起こることはそう多くない。
このあたりは、とりあえず
ErogameScape−エロゲー批評空間−のメーカー別情報あたりを参考にするのが分かりやすい。ポイントとしては、点数・データ数・修正ファイル有無・バグの程度・作品傾向・ボリューム等に関する情報が基本。ただし点数はあまりアテにしない方がいい。
質が安定しているメーカーは基本的に安心買いが通用する。当たり前だが不安定なところは危険。
一つ抑えておきたいのは、波が大きいメーカーの場合である。
極端な例を一つあげると、
戯画マインでおなじみの戯画あたりは要注意である。
このメーカーは高い評価を受けている作品を多数出している一方、評価の低い「地雷」も多数出していることで知られている。地雷といえばまずこのメーカーの名前を思い浮かべる人も少なくないだろう。
気をつけるべきポイントは、まず評価の低いシリーズ作品は危ないということである。
しかし評価の高いシリーズだからといって安心できないのがクセモノなのだ。
評価の高い作品シリーズでも、ファンディスクやリメイクは警戒した方がいい。開発コストが抑えられていることが多いからである。
人気の高いシリーズの完全新作(バルド系や丸戸シナリオ系)で外してくることはまずないので、そこだけは比較的安全である。
六、作品形態による危険度の把握
◆ファンディスク
ファンディスクとは、発売済みの過去作の後日談やアナザーが主な内容。
これは作品の売り上げがよかったから奉仕的にファンのために作成したもの……ではない。
絵や音楽などの素材が既にあるため、開発費を抑えて作ることができ、売り上げの予想も立てやすいなどメーカー側にメリットの多い作品形態である。
値段に比べて極端に内容が薄いものが少なくなく、ただファンディスクというだけで地雷率が跳ね上がると考えておくぐらいが妥当である。もちろん良作も数多く存在する。
◆麻雀等の既存のゲームを利用したもの
最近はあまりないが、ほとんどがファンディスクの一種。なので同じ理由で警戒しておくに越したことはない。
◆RPG・SLGを作ったことのないメーカーが突然作ったもの
ノウハウがないのに突然作ってしまう。外注してたって安心材料にはならない。有名メーカーでも失敗例は多い。特にどんなゲームかきちんと全体像が把握できるような体験版が無い場合、極度に危険である。突然変異のように成功するケースは少ない。
◆作ったことのないバトル系のAVGを突然作ったもの
理由は定かではないが、低水準のものが出やすい。恐らく演出面などで必要なコストが高いのではないかと推測される。
七、危険信号をキャッチする
これに行き当たったら警戒度は上げておいた方がいいというもの。
◆延期
エロゲで頻繁に問題になるのが「延期」
延期と作品の質は必ずしも一致しませんが、延期するということは、そもそも内部のどこかに問題があることとほぼイコール。警戒するに越したことはない。
一部ユーザーの予約金や事前入金など既にお金がかかっている状態で行われるわけで、作品がどうであれメーカー自体が地雷です。
ただし延期を行うメーカーは非常に多いため、これを理由に回避するとかなりの作品を除外することになってしまいます。実質的には、あまり気にしない方がいい要素。
◆データ容量のアピール
「DVD二枚組み!」とか「容量○ギガ!」といった宣伝文句があったら、まず疑う。
大作感をアピールするための宣伝文句だが、実際には単にデータの圧縮率が低いだけだったりすることもある。
また「シナリオ容量○Mバイト」というのもあまり意味はない。5Mや6Mとなるとさすがに業界トップクラスの大作だが、適当な水増しは可能である。
容量面でチェックしておくべきなのは、CG枚数(差分含まない)や回想シーン数などだろう。
◆公式ホームページの状態
更新頻度やスタッフ日記の様子など見るべきところは多い。
「まともに更新するほどの余裕もない」とか「スタッフ日記の雰囲気が暗い」とかありがちといえばありがち。
他にも新規素材が出てこないとか、体験版が遅れてるとか、バグの出た体験版の修正状況が不明だとか、サポートの動きが悪いとか、修正ファイルが上がってこないとか。基本的な活動がまずいところはやはり危険度が高いと思った方がよい。
八、安易なシナリオライター買いは危ない
上記参照。
一般的にエロゲのスタッフで大きくアピールされるのは絵師とシナリオライターである。絵は宣伝素材を見ればある程度分かるが、ライターの要素は判断しづらい。
シナリオライターとは基本的にテキストを書く人のことであって、企画やプロットの段階から関わっているかどうかは別の問題である。
また複数のシナリオライターで作品が構成されている場合、目当ての有名ライターがいたとしても、担当部分や量など不明瞭なことが多い。
比較的高い水準で安定している作品ばかりを手がけているライターもいれば、そうでないライターもいる。このあたりは、ある程度エロゲに慣れた中級者向けの判断方法になるだろう。
九、自分が地雷だと思わなければそれは地雷ではない
ここまで地雷地雷と連呼してきたけれど、結局一番重要なのはここである。
自分が地雷だと思わなければ、それは地雷ではないのである。 ネットで地雷だと騒がれた作品であっても、それを愛好するファンが多数いるケースもある。
上で例示した「戯画マイン」とされている「カラフルキッス 〜12コの胸キュン!〜」や「カラフルハート 〜12コのきゅるるん♪〜」が私は好きである。
一時期話題になった「Dies irae」や「Garden」を愛している人もいる。
決して周囲の評価だけが全てではない。それが地雷かどうかを決めるのは最終的に自分自身なのである。
ここで一つ私の経験からできるアドバイスがあるとすれば、それは
「自分がプレイし終わるまで他人の感想を見ないこと」だ。主に予約買いなどの場合で、感想を見て買った場合は別である。
他人の感想、特にネットでネタにされている作品は、「欠点」だけがピックアップされて誇張されていることが多い。そして人間はこういう誇張された情報に対して非常に脆いのである。
特定の集団に対する差別意識などがそうであるように、偏った情報によって作られた
先入観というのは強固で、一度思い込んでしまうとなかなか改められない。
これは正しい情報を手に入れることで改めることになるわけだが、エロゲの場合は実際にプレイすることで初めて何が正しい情報だったかが分かる。つまり、
実際にプレイするまで、あるいはプレイし終えるまでずっと先入観にとらわれることになるわけだ。さらに最悪、プレイ後まで引きずることになりかねない。
余計な情報を知ってしまったばかりに、楽しくプレイすることができなかった……などということにならないようにしたいものである。
十、地雷を踏んでしまったら……
地雷を踏んだら大抵トラウマだ。特に学生などにとって安い買い物ではない。
そんなものはいつまでも手元においておく理由はない。
早々に手放すべきである。
ポイと捨てるのはもったいない。ちゃんと買い取りに出せば経済的損失は最小限で済む。
評判の悪い作品は買い取り値の下がりも早いので時間を置くべきではない。
戻ってきた分を合わせて別の作品を入手するのも手である。
ではこれを読んだ諸氏の幸運を祈る。
「過程が」楽しいのもあるしね。