



一部で噂の、10年前からループしている話題「エロゲにエロは不要」という言説について、その論点を分類し、私の思うところを書いてみました。
長いです。あと
投票フォームが二つあります。
でもって他所様へのリンクがいっぱいです。私は余計な文章書かずにリンク集にしとけばよかったんじゃないかと思っ(ry
「エロゲにエロは不要論」の論点と分類
ここでの言葉の定義について
いくつか専門的な言葉が出てくるので、その定義を確認しておきます。あくまでこの記事内での定義であり、一般的な定義とは必ずしも一致しません。
◆「美少女ゲーム」
├エロゲ……18最未満販売禁止作品・ポルノ(基本的にパソコン(PC)の美少女ゲームをさす)
└ギャルゲ……18禁未満作品・非ポルノ
「エロゲにエロは不要」という問いの「エロゲ」は
「18禁のPC美少女ゲーム」を指すものとします。
また「エロ」とは「性的な描写一般」を指すのではなく、
「直接的な性行為の描写」を指すものとします。
メタ議論
「エロゲにエロは不要」という言葉や、問い自体を問う。
【論点の例】
・どう問うのが正しいのか。どのように答えを導くのが正しいのか
・「エロゲ」や「エロ」という言葉のそれぞれの認識や定義について
・主体が不明瞭。誰(何)にとって不要なのか。特定の作品・エロゲ自体・個人・業界・メーカーなど
個人的見解と補足
エロゲ不要論の記事の中には、「エロゲ」内のサブジャンルの無視・軽視・蔑視がしばしばあるように思われます。
実際のエロゲは
ポルノ志向の作品(抜きゲ・凌辱系など)・非ポルノ志向の作品(エロを作品の主眼としない作品)の二種に大別されると考えます。また、両方を積極的に複合しようとしている作品もあります。
しかし、「エロゲにエロは不要」だとする主張の「エロゲ」という言葉には、「ポルノ志向の作品」が含まれていないことがあり、あたかも
それらの作品が「存在しない」かのように論じられることさえあります。これでは「エロゲ」について語っているとはいえません。
ここで、
「エロゲ」という言葉を「シナリオゲー」「泣きゲー」「ストーリー重視の作品」「非ポルノ志向の作品」などと置き換える必要が出てきます。
(今回の記事では
「PC美少女ゲームのうちポルノ志向でない作品」と置き換えます)
また、エロゲをポルノメディアとして無価値と断じることにより、暗に
「ポルノ志向の作品は駆逐されるべき」としているものもあるようです。
この場合は「エロゲのポルノメディアとしての価値」に関する議論へと発展することになります。
(関連)エロゲの分類用語について
・
【エロゲ】 ごく個人的なエロゲの分類と認識 - 散録イリノイア作品・ストーリーへの影響
【論点の例】
◆エロはない方がいい派
・エロがなくても影響がない(→ポルノの制限を取り払えるメリットがある)
・エロを省いた方がストーリーがよくなる
・エロを省いた方がテンポがよくなる
・エロが制作者の自由を制限し、バリエーションを限定しているetc.
◆エロはあった方がいい派
・エロと恋愛は不可分
・エロがなければ、バリエーションが限定される
・エロゲとして発展してきたものからエロを取るメリットは無い
・エロ不要論が出てくるのは描写が下手だから。改善すればいい
個人的見解と補足
エロを使うなら徹底して使わなければならないという、社会的要請があるのでしょう。
エロを使わないなら徹底して使ってはならないという制限があるのでしょう。
中間がありません。
実際の作品は、当然ながら、そのような社会的要請や制作上の制限など、様々な「枷」(予算・人材・時間など)がついた状態で作られるはずです。エロゲは自分が自分のために書く小説ではないからです。
「エロの使い方」の問題も、そういったものに付随するものの一つでしょう。
その「枷」がない状態は、制作においての一つの理想でしょう。作品の質だけを無制限に追求する自由。制作者が自分の思い通りに作品を作る自由。
しかしそんなものは恐らくないのです。現実として、エロとどのように付き合っていくかが問題です。
エロを含めた作品を追求したい制作者はそのように動くでしょうし、エロを取り払い、ポルノから脱却したがっている制作者はそのように動くのでしょう。
その上で需要の有無がそれらを淘汰していく。そんなエロゲとエロとの関係があると私は考えます。
また、そんな「枷」の中に
「美少女」という要素が含まれていることも忘れてはならない。
オタクに媚びるような萌え絵の美少女など必要ないと感じている制作者や客も存在しているはず。「美少女ゲームに美少女は必要ない」という主張だってありうるわけです。
「エロは不要だが美少女は必要だ」と考えている
“中途半端な”人は、エロゲのエロ以外の部分が評価された時、一足飛びに
「エロどころか(萌え系の)美少女が消えていた」などという展開もありうることを視野に入れておくべきでしょう。
PC美少女ゲームが自由を勝ち得たとき、
都合よくエロだけが消えるとは限らないのですから。商業として
【論点の例】
◆エロはなくてもいい派
・ポルノ要素のない一般作でも売り上げ的には劣らないのだからエロは不要
・資金に余裕のあるメーカーがもっと一般作市場を開拓すべきetc.
◆エロがあるのは仕方ない派
・既存の18禁市場を利用せざるをえない現状
・ポルノ市場を利用せずに一般向けのフィールドで勝負できるのは大手だけ
・18禁でなければ雑誌等宣伝媒体がない
・18禁でなければ売り場がない
・PCにおいてポルノ要素がない一般作の一般認知度が低い
・ポルノである限りコストは低く済む
・大半のメーカーには一般作にチャレンジする資金がないetc.
個人的見解と補足
まずこの問題に関しては、「数字」や「売り上げに関する評価」などのデータの
信憑性や妥当性の問題があります。
ソースがあればいいとうものではありません。それが正しいかどうかの保証がないからです。
また数字が正しかったとして、その
分析の方法の問題もあります。
そして、開発費と損益分岐点、いくらで何本売れて利益がどれだけ出てるのか。どれだけの利益が必要とされているのか。そういった細かい分析も必要です。
世界の違う一般作と同じ場所で勝負するには、よりお金がかかるかもしれません。お金のかかる次回作を作るには、より高い利益が必要です。
単純な「売り上げ本数」の比較には、メーカーの求める水準に関する裏づけが必要でしょう。
さらに、現在でも一部の大手メーカー……既に出来上がったエロゲの権益の外で自力で勝負できる力をもったメーカー……は、当然顧客層を拡大すべく努力しているはずです。
目に見える範囲では、エロのない美少女ゲームへの移行……ではなく、エロありのゲームも作るという両面作戦。
これができるエロゲメーカーと、ハナからエロゲを作らない美少女ゲームメーカーだけが、PC美少女ゲームのフィールドでエロなしの勝負をしているようです。
素人門外漢が的を射てるのか外れてるのか分からないような分析をするまでもなく、彼らは実験と検証を繰り返しながら、生き残りや拡大の道を探っているはずです。
ポルノメディアとしての評価
◆ポルノメディアとして価値のないエロゲにエロはいらないよ派
・コストパフォーマンスが悪い
・実用しづらい
・単純に質が悪くてどうしようもないetc.
◆ポルノメディアとして様々なメリットや可能性があるよ派
・ゲームとしての双方向性
・様々な素材を使った総合的な表現が可能etc.
個人的見解と補足
えー、にごしても仕方ないのではっきり申し上げますと、
私は実用しています。 また、
使用頻度も他メディアに比べ、比較的高いです。 リアルと三次元は省くとして、いわゆる二次元エロの中でもバランスがよく、優れていると言わざるを得ません。
やはり総合的な表現と、時間的な「量」がモノを言っている気がします。
エロアニメやエロマンガでは短すぎるんですよ。エロマンガには声がない。エロアニメは絵的に洗練されていないものが多い。
思いっきり個人的な嗜好ですけど。 いっそのこと聞いてしまえばいいのではないか。◆あなたはエロゲをポルノメディアとして高く評価するか低く評価するか(二次元・三次元問わない)・単なる個人的な嗜好でかまいません。
・あなたの主観でかまいません。コストパフォーマンスや質や使いやすさや実際に使っている頻度などの総合的な判断でもかまいません。
・比較対象はポルノメディアならなんでもかまいません。エロマンガでもAVでもエロ本でもいいです。思うものと自由に比べてください。
感情論
エロ不要論の背景にある人間感情を探る。
【論点の例】
◆エロ不要派
・承認欲求。自分が認める作品をより広く一般社会に認めさせるためにポルノ要素が邪魔である
:ひいてはその作品を認めている自分を認めさせたい。
・全ての美少女ゲームがエロなしであれば、エロ要素による問題が起こらない
:ポルノとしてのエロゲの需要を無視・否定した極論。
・ヒロイン崇拝によって性対象にできない
:ヒロインは純潔でなければならない。ゆえにポルノ要素は排除すべき
:ヒロインにポルノを演じさせて(?)はならない。ゆえにポルノ要素は排除すべき
・エロゲをポルノとして見ない俺カッコイイ
:自己陶酔・自己顕示・優越感ゲーム
・エロゲ隆盛な現状がなんとなく気に入らない
:多数派に対するむやみな反感
・ポルノ要素自体への嫌悪感
:ある種の潔癖症
etc.
◆エロ必要派
・ポルノ要素が気に入らなければエロゲにこだわらず他のメディアに向かえばよい
:美少女ゲームのバリエーションの豊富さ、エロ以外の魅力を求める感情の無視
・エロは万人に通用する価値であり排除するのは異常
:エロに対する嫌悪などを無視した極論
・エロが気に入らなければスキップすればよい
:制作者側の感情や事情、作品の表現上の都合やゲームデザインの軽視
・エロはリアルな恋愛表現に必要
:エロ抜きでの表現を軽視。ポルノという枠による制限の無視
:露悪趣味
・美少女ゲームはごく一部のオタクのものであるべき
:一般に認知されると興味を失う。特権志向
・ポルノメディアとしての実用
:美少女ゲームが非ポルノメディア化することへの反発
:性欲の行き場が縮小されることへの不安
・エロゲをポルノとして認識している俺カッコイイ
:なんとなく「ポルノ」とか言ってみたいだけ
・エロ不要論キメェ
:背景に透けて見える感情に対する嫌悪感
etc.
個人的見解と補足
エロゲに対して、そしてエロゲのエロに対して何らかのマイナスの感情を持った時、エロ不要論が生まれるのでしょう。
そして、エロ不要論への反論としてエロは必要だという主張が出てくる。
エロ不要論について感じるのは、「論」になる前の感情的な主張が目に付くこと。
私がこの記事を書くにあたって持っているいくつかの感情を例にしますと……
「議論自体に興味はないけど、一部で流行ってたから首を突っ込みたくなった」「それらしいことを書いておけばアクセス稼げるかも?」「ちょっと頭がよくなったような気分を味わえる」などなど。
エロゲに対する真摯な感情によって書いてはいません。
書いた動機は何でもいいんですが、
とりあえず理屈の形になってないと「議論」にはならないと思うわけです。
何を指しているのかも明確でない。どこに向かって言っているのかもわからない。
ちぐはぐな議論以前の「言い合い」をよく目にしました。
そもそも
「エロゲ」という言葉の定義を都合よく解釈してやらないと意味が通じない点からして、なんだかもう大変です(汗
文化史観
【論点の例】
◆昔よりエロくないエロゲが増えた
◆今のエロゲは昔のエロゲよりエロくなっている
個人的見解
今PC美少女ゲームにおいてエロゲが隆盛なのは、資源内での最大利益を追求した結果をそのまま反映しているのだと思います。
低予算である程度の収益を挙げるために、ポルノ要素を使う。 これはゲームに限らず、映像や紙媒体でもほぼ共通する手法でしょう。
ピンク映画しかり、
日活ロマンポルノしかり、ポルノと見まごう萌えアニメしかり、エロマンガや青年コミックしかり。
もっと広い枠で「性」の要素を使うこともあります。
美少女系、萌え系の作品はどれも基本的に女性の「性」に意味があり、これを売り物にするものです。
しかし
需要が“ある閾値”を越えるような作品では、ポルノや「性」という要素が足枷になることがあります。
これは法的な規制や、倫理的な面などから、それが万人向けではないからです。
「万人向け」を目指してエロゲからエロ要素を排除したのがいわゆる「コンシューマー(CS)移植」作なわけですが、現状、非ポルノ美少女ゲームは、ポルノ美少女ゲームと比べて、客層において圧倒的なアドバンテージを持ってはいないようです。
これは
そもそも美少女ゲーム自体も万人向けではないからでしょう。 しかし
美少女ゲームのテイストは、様々な一般作に取り入れられ、成功を収めていると思います。
格闘ゲームやRPG、SLGなど。ただそのハードがPCではなく、作っているのがエロゲメーカーではないだけです。
「これなんてエロゲ(ギャルゲ)?」といいたくなるような作品は珍しくもないでしょう。
美少女ゲームを広げるのは、PCのエロゲメーカーである必要はありません。
美少女ゲームは今もそのバリエーションを広げ、留まってはいません。
PCのエロゲメーカーでも、鍵や型月や葉などの挑戦が続いています。それができる環境が整いつつあるのだと思います。
ただのポルノから総合的なエンターテイメントへと、エロゲは形を変えながら発展しています。
アンケート
要か不要か。アンケートをとればいいじゃないという発想。
その他の要・不要論
◆「日常シーン不要論」
◆「ゲーム性不要論」
◆「美少女不要論」etc.
個人的見解と補足
エロゲにおける「ゲーム性」は、エロゲの発展の中で淘汰されていった要素の一つです。
同じようにエロゲを構成する要素である「エロ」が廃れていく可能性というのは、ないとは言えないでしょう。
一つは「規制」によるもの。仮にCS並の規制がPCに入れば、当然ながらエロは淘汰されます。
もう一つは一部のエロゲメーカーが作っている、年齢制限を下げた作品の成功。これが続けば他の大きなエロゲメーカーが追随していく可能性もあります。
彼らはいずれ
「PC美少女ゲームのうちポルノ志向でない作品にエロは不要」であることを、自ら証明するかもしれません。
その他資料など
エロゲにエロは不要か
【問い】
「エロゲにエロは不要か」
これはこの記事内において、こういう意味です。
「PC美少女ゲームのうちポルノ志向でない作品に、直接的な性行為の描写は不要か」
私は
「不要だ」と答えます。
必ずしも必要ではない。なくたってかまわない。でも、別にあったって困らない。
エロを使いたければ使えばいい。でも使いたくなければ、使わなくていい。
売り上げやメーカーや業界の未来など私には分からない。1作出して潰れたって私は困らない。消えてしまうならそれまでのもの。余計なお世話である。
私にとって重要なのは、
自分がより面白いPC美少女ゲームに出会えるかどうかです。面白ければ美少女ゲームである必要さえありません。
でも、ただ今までのエロゲからエロを抜いただけなら、そのこと自体が興味の対象になることはありません。
エロを抜くことで何を成し得たのか。どんな挑戦があったのか。それが重要です。
たとえばニトロの「CHAOS;HEAD」なら、18禁で仕事をしないスタッフをPC美少女ゲームの15禁作品に引っ張り込むことに成功した。そんな「何か」が必要です。
“私にとって”、PC美少女ゲームのうち、ポルノ志向でない作品に、
エロは不要だ。 エロがなくたって欲しいPC美少女ゲームがいくつもあることが、私自身に対してそれを証明しています。
エロが欲しければ、ポルノ志向の要素を持つ作品を選べばいいだけです。
「問い」の
「主体」については、私は私のことしか分からないので、“私にとって”と限定しました。
ここまで色々と考えましたが、エロゲ自身のことも、業界のことも、結局私にはよくわからないのです。
ここまでの全てを踏まえて問います。よければ投票をお願いします。
◆「エロゲにエロは不要か」=「PC美少女ゲームのうちポルノ志向でない作品に、直接的な性行為の描写は不要か」・「誰(何)にとってかは」問いません。どのようにでも解釈してください。
・その他言葉の定義については、これまでの内容を参考に、独自の解釈を加えていただいてかまいません。
コンプティークに載っているPCゲームのランキングは
一般と18禁あわせたランキングだが
ほとんど18禁しか載っていない