いつもどおり自分の発言から適当に話を広げてみる。
自分の記憶だよりのいい加減なネタなので、大部分は話半分でお願いします。
エロゲの評価軸の変化?
エロゲを事前に評価するとき、あるいはプレイ後に評価するときの一つの大きな軸として「ライターの名前」というのがあると思います。
あくまで私個人の記憶によるいい加減な認識ですが、1995年頃はメーカー名がエロゲの最大評価軸だったと思います。エルフ、アリス、シーズウェア、Leaf、カクテルソフト・フェアリーテールとかそのあたりですかね。そこに痕とかYU-NOとかpiaキャロなんかが出てきて、原画家やライターの名前が出るようになってきた。
全然違うかもしれませんが、私の中ではなんとなくそんなイメージです。私のエロゲ暦がそのあたり(実際にプレイしたのはもっと後だけど)から始まってるので、それ以前の同級生とかの頃の話を知らないんですよね。今回の話ではさほど重要な点ではなので、スルーしてください。
シナリオライターの名前とメーカーの一致・不一致
ライターの名前が注目されるというか、ブランド力を持つ(?)ようになってからしばらく経た1998年、ONEが発売されてもてはやされました。メーカーの名前は「Tactics」です。ここで久弥直樹や麻枝准という名前が知られるようになったと思います。
そして1999年、Kanonが出るんですねぇ。メーカーの名前は「Key」です。どういう経緯があったのかよく知りませんが、「Tactics」からスタッフが独立して「Key」を作って成功したって感じでしたかね。今で言えば、「きゃんでぃそふと」からスタッフが独立して「みなとそふと」を作って成功したような具合です。
あくまでコレは一例。それ以前に似たような事例があるかもしれませんが知りません。
ともかくここで重要なのは、
「シナリオライターとメーカーの名前が1セットで語れなくなった」ってことです。
当時は有名ライターが複数のメーカーで書く…なんてケースは少なかったと思います。つまりは「メーカー+ライター」が1セットだったわけです。ところがそうでないケースが出てくるようになったってことです。
このあたりいい加減なことを言ってるので、ホントに話半分でお願いしますよっと。
シナリオライターの名前がメーカー名に先行する
現在のエロゲは、割と小説…特に
ライトノベルに近い評価軸で一般に評価されてると私は認識してます。
ラノベの絵=エロゲの原画、ラノベの文章=エロゲのシナリオライターって感じですね。一般小説で「絵」が重視されることはそんなにないと思うので、やはり「ラノベ」に限る必要があります。これにメーカー名がついて
「エロゲ三大評価軸」って感じになってるような気がしますね。
そこに音楽屋と声優、主題歌の歌手の名前が続いていて……更にマニアックになると、ゲームエンジンやムービーの作者の名前なんかも気にする人がいるようです。濃い世界ですねぇ〜
個人的には「演出担当」や「塗り師」なんかの名前も表に出てくるようになると面白いなーと思いますけど。あるいはプロデューサーやディレクター相当のスタッフの露出を希望してる人もいるみたいですよ。
今回テーマにしてるライターの名前は、ここ数年特に重視される傾向にあるように思います。下手すると原画家やメーカーより大きく見られてることもあるような。
シナリオ重視主義というか偏重主義というか、本当にライトノベルのような「小説」っぽい評価のされ方をすることが増えたと思うんですね。特にネット界隈を見てるとそんな気がします。
この傾向は、上で例示したKeyの他に、TYPE-MOONの月姫なんかが出始めた2000年頃から大きくなってるように認識してます。
実際のエロゲの作られ方
ラノベのような評価のされ方をするエロゲ……しかし、実際のエロゲは「絵師と著者」(あと編集者とか出版社の影響もあるかも)で構成される小説よりも、もっと多人数が関わっていて、必要な経費も遥かに大きく、むしろアニメや映画の作られ方に近いようです。
同人並の少人数で作られる場合……例えば「ひぐらしのなく頃に」(エロゲじゃないけど)だと、小説に近い評価の方が当てはまりやすいかもしれませんけど、それはまぁ例外としておきましょう。
「アニメ」の例として
機動戦士ガンダム00 - Wikipediaを持ってきて考えてみます。
これによると少なくともエロゲの「シナリオ」に相当する部分に関わっている名前だけで、監督-水島精二、原作 - 矢立肇、富野由悠季、シリーズ構成・脚本 - 黒田洋介と名前が色々出てます。この中には「矢立肇」という、個人の名前ですらないものまで含まれていて、この作品のストーリーの作成に関わっているスタッフの数が、実際どれぐらいになるのかさえよくわかりません。
エロゲも実際にはこのようにアニメの成立に近い形で出来てるものらしいので、「シナリオライター」だけが「シナリオ」に相当する部分を作っているとは限りません。(もちろん、そういう場合もあるでしょうけど)
シナリオライターの名前で「シナリオ」の全てを考えるのはいかがなものか?
シナリオライターだけが「シナリオ」を作っているわけではない。としたら他に誰が関わっているのか……といえば、まぁ「メーカー」の人なわけです。その中には色んなのが含まれてて正体は見えません。ひょっとするとスタッフロールに名前が出てるかもしれないですね。
メーカーの人やライターさんがよってたかって集団で作ってるのがエロゲのシナリオである。とすれば、ライターの名前だけを取り出して「シナリオ」を語ったり評価したりするのは、あんまり的を射ていないこともあると言えます。
ならどうすればいいかというと、とりあえず
「シナリオライター+メーカー」で考える方がまだマシだと思います。実際にはその「メーカー」でさえ、中身がよくわからないのでなんとも言えないんですけども。
つまりどういうことが言いたいのかというと、
メーカーが違えばシナリオライターの名前が持つ意味は薄れるってことです。
「ライターA+メーカーA」ですごくデキがよくて評価の高い作品があったとしましょう。
そして、その作品をプレイしてファンになり、「ライターA」が関わっている「メーカーB」の作品をプレイしたらすごくつまらなくてデキが悪かったとします。
ここで
「ライターAの実力には波がある」と結論してしまうのは早計です。「メーカーB」という要因を無視しているからです。
実際にはその他の色んな要因が絡んでいるので、そんなに単純に作品のデキが決まるわけじゃないですけど、考え方としては「メーカー」という要因を増やした方がまだマシなはずです。
「メーカー+ライター」が常に1セットであればそんなことは気にしなくていいんですけど、そうでない場合も多いんですね。
今回この話がしたかった理由がここかな結局。メーカーが違うのにライターが同じってだけで、シナリオの出来を全部ライターのせいにしちゃってるよーなエロゲの感想を読んじゃったからです。それってどうなの?って。
実際例
色んなメーカーでシナリオを書いてるライター……フリーのライターかもしれないし、所属を移っただけかもしれませんが、そういう人の名前を実例として挙げてみますと……
田中ロミオ、丸戸史明、健速、瀬戸口廉也、あごバリア、北側寒囲とかこのあたりですかねぇ…リストを適当に見ただけなので、特定のメーカーの系列ブランドだったりするかもしれません。
特に今回の話に都合がいいのは、
田中ロミオですかね。リストを持ってくるとこんな感じ。
田中ロミオ(山田一) 関わったゲーム一覧 −ErogameScape−エロゲー批評空間− メーカーもばらばら、評価もばらばら、データ数もばらばら、またシナリオへの関わり方もばらばらです。特に参考にしやすいのは点数よりデータ数ですね。少なくとも「話題性」を如実に反映してそうだと考えられるので。
田中ロミオといえばエロゲにおいては非常に有名な名前なんですけど、この人の作品を事前に評価、あるいはプレイ後に評価するにあたっては、「メーカー」の名前はもちろん、複数ライターの場合は「他のライター」の名前までチェックしておく必要があるでしょう。
つまり
ライターの名前一つでは作品のデキが予測できないということです。また、
ライターの名前一つで作品を評価することもできないということです。
対極的なのが
丸戸史明ですね。
丸戸史明 関わったゲーム一覧 −ErogameScape−エロゲー批評空間− 複数メーカーの作品に関わっているけど、評価やデータ数には安定感があります。
ライターの名前だけで作品のデキを事前に推測するなら、どちらの信頼性が高いかは割と分かりやすい問題です。いわば「安心の丸戸ブランド」って感じですかね。
彼の場合はアニメでいう「矢立肇」よろしく、「企画屋」という集団とセットなので、「個人」として他のライターと比較するには疑問がありますが。
この話はあくまでデータから見た場合のことで、ライター個人の実力等に言及するものでは全くありません。ここ重要。ファンを敵に回すつもりとかありえません。
「シナリオライターの名前」という正体のあやふやなもの
ちょっと穿ちすぎな話かもしれませんが……エロゲの構成要素のうち最も分かりにくいかもしれない、
シナリオの成立過程の不透明さは少し考えておいた方がいいポイントかもしれません。
映画でも
イアン・マクレラン・ハンター - Wikipediaのような「名義貸し」の話があるぐらいで、やはりエロゲにもそういうものはあると考えるのが自然でしょう。
上の「田中ロミオ」の場合は「監修」という形での関わり方があることが分かってますが……一般にライターと作品の関わり方として、「メインライター」と銘打たれているにもかかわらず、実際には「監修」であることもあるかもしれないし、あるいは「名義貸し」であることもあるかもしれないです。
複数ライターの作品の場合、どこを誰がどのぐらいの分量担当しているかなども非常に不透明で、有名ライターの担当部分がほとんどなかった!なんてこともありえます。
そういうことの判断を得意にしている
シナリオライターオタクみたいな人もいるっぽいですけど、私なんかは全然分からないですね。
かくも不透明な「シナリオライター」という要因。このあたりはもうユーザーと制作者の信頼関係の問題ですかね。どれだけ「ウソ」であってもイイ作品が出てくるならどうでもいいことかもしれません。
まとめ
何年も続いていて、コンスタントに作品を出し、評価の安定しているメーカーの場合、ライターの名前が何であっても、あるいはどういう風に作られていたとしても、次に出てくる作品の質はやはり安定している……そんな
「安心のメーカー」ばかりがエロゲメーカーである……なんてことはあるはずもなく。
メーカーの勃興の激しい世界でもあるので、どこに信頼を置くかは難しい問題ですね。
個人的には
「安心のメーカー+安心のライター」>「安心のメーカー」>「安心のライター」という感じで事前にデキの予想を立てたりしてます。「メーカー」の要因の方が「ライター」よりも大きいという考え方です。
こんなものは人それぞれなので、好きにすればいいと思いますけど。
基本的には第一印象で特攻して、地雷を踏んでも泣かない!ってのが醍醐味だと思ってます(笑
妙な下馬評よりも、自分のテンションを大事にして作品を楽しみたいってのもありますよね。
またプレイ後に作品を評価する場合も、基本的に「メーカー+ライター」で考えます。ライター単体で考える場合は、それなりに「安心のライター」である必要があると思ってます。
あとそうですね……あんまりこういう見方が流行らないというか、エロゲがラノベっぽい評価のされ方をし続けてるのは、ユーザー側の求めがないのと同時に、メーカー側もそれを求めてないってところがあるのかなと思ってます。
あんまりスタッフの名前を表に出さずに〜っていう流れというか空気があるというか。ポルノ業界ならではって感じもありますね。声優の裏名義とか、ネタとしか思えないその場限りの?スタッフ名とかに表れてるかなと。
そんな空気の中で
あえて表に出される名前というのが、原画家でありライターであり声優なのかなと。だからユーザーがライター名だけでシナリオを見るってのは、自然なことかもしれません。うまく選択させられていて、それでうまく世の中回ってるのかなと。それはそれでいいのかもね。
以上、ライターという要素と作品のシナリオの関係とか、素人の知ったかエロゲ業界話とか、そんな話でした〜っと。
シナリオライタという位置づけの曖昧さは自覚しているのですが、敢えてここは記事に書かれているような課題にも足を踏み入れつつ、語る機会をつくってみようかと思い、始めたものです。
といいながらも、自分の担当はある程度担当部分が明確で位置付けがディレクション込みの麻枝准というのは、映画で言えば監督+脚本という位置になり、スクリプタの位置付けから意見具申程度のレベルまで、いろいろ位置付けがあるところを見てはいない、という批判はあるかと思います。
この点は、有名ライタの名義を借りた煽りに近い部分もあるかと思いますが、その点はご了承ください。
統一的な方針はないので、普通にゲームを楽しむ際の表に出てくるスタッフ名にかこつけて何かしら語る、という程度とお考えいただければと思います。